4《NHKと民放のネットワーク》その1

 さてネットワーク。言葉は知っていたが、テニスのネットプレーしか知らなかった私にとって、新しい職場は知らないことだらけだった。今でもテレビ業界以外の方にネットワークを説明するのは難しい。テレビ局には放送法で決められた放送エリアがある。まずNHKを例にとって全国タイムとローカルタイムを説明しよう。NHKは1社で全国1エリアを与えられているが、その番組表は全国同じではない。東京(JOAK)や大阪(JOBK)が制作する主な番組は全国放送の枠(全国ネットタイム)で見ることができるが、ローカルニュースやローカル番組は、各地域のNHK(支局)の放送エリアによって随時放送内容を切り替えている。例えばニュース番組は最初に全国一斉のニュースを放送し、次にローカル枠に切り替えて、地元相手にローカルニュースを放送している。天気予報も必ず最初に全国の天気予報を放送する。その時間は東京のお天気キャスターが一律に全国ネット番組で説明する。次にローカルタイムに切り替わる。その瞬間から、香川県の天気予報は高松支局から支局のアナウンサーが説明しているのである。この順序が逆だと、地方の視聴者は自分の県の予報を見た後、チャンネルを切り替えるかも知れないので、天気予報という一つの番組の中でもローカルの予報は常に後になっている。高校野球の県予選は各県のNHK支局が自分のローカルエリアで中継しているので、香川の予選を東京で見ることはできない。ただ関東広域エリアの場合、AKは関東広域のローカル枠を編成する場合がある。そのときには東京の視聴者も神奈川県予選や埼玉県予選を見ることができる。甲子園が始まってからも、地上波を総合と教育の2チャンネル持っているために、地元出場校の試合が長引いても、別のニュースが飛び込んでも、平気で切り替え放送ができる。NHKは全国エリアの放送権を1社で持ち、複数のチャンネルを持っているため、全国放送とローカル放送の区分けを直前にでも変更できる。それによって料金問題は発生しないが、民法はそうはいかない。民法は日本中別会社だからである。